大阪産業大学からのお知らせ

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大阪産業大学からのお知らせ
2025年7月8日(火)、人間環境学研究科にてFD研修会が開催されました。今回は、本学人間環境学部文化環境学科を卒業し、本研究科の第1期生でもある桂 良寛先生をお招きし、「『人間環境学』を振り返って」と題してご講演いただきました。桂先生は、現在、工学院大学教育推進機構保健体育科にて教授としてご活躍されています。
桂先生は小学生の頃からバレーボールに親しみ、運動生理学やスポーツ科学への関心から人間環境学部に進学されました。学部では心身環境コースを専攻し、大槻伸吾教授の指導のもと、「ストレッチングが練習後の大腿直筋に及ぼす影響-バレーボール選手について-」をテーマに卒業論文を執筆し、学士(人間環境学)を取得されました。
大学院進学後は、「人と環境の関わりを探求し、文理融合の知と実践力を獲得する」という研究科の方針に基づき、自身の専門分野以外にも幅広く環境学や人文科学、人間科学などの授業を受講されました。最初は戸惑いもあったとのことですが、次第に他分野の学びに興味を持ち、基礎からしっかりと学ぶ姿勢を身につけたと語られました。特に印象深かったのは、ビール工場を訪れるフィールドワークで、環境への多様な配慮について学ぶ機会となったそうです。このような経験から、「とりあえず聞いてみよう、見てみよう、やってみよう」という姿勢の大切さを実感されたとのことです。
現在は工学院大学において、理工系の学生を対象にスポーツ実技や健康教育を担当されています。運動や健康への関心が高くない学生も多い中で、人間環境学研究科での学びが指導の大きな支えとなっているといいます。たとえば、バドミントンの授業ではシャトルのスピードや発射角度を測定し、物理や数学と関連付けながら展開することで、学生の興味を引き出す工夫をされています。また、バレーボールの授業では、無回転サーブのブレに関する流体力学的な視点も取り入れています。これらはすべて、大学院で培った文理融合の視点があってこその実践であると述べられました。
大学院時代には、大槻教授が主導した「大東ダイナミックプロジェクト」にも参加。運動、メンタルケア、笑いを取り入れた産官学連携の運動プログラムに携わったことが、研究の方向性を定める契機になったと振り返ります。こうした充実した研究フィールドを持てたことは非常に恵まれていたとも語られました。
大学院2年間では、「高齢者に対する体操教室での指導?体力測定」に関するデータ収集と解析を行い、6本の学会発表、3本の論文投稿を実施されました。その一方で、研究デザインや統計手法のさらなる習得、発表や質疑応答のトレーニング、早期の投稿計画の立案など、今振り返るともっと取り組みたかったと感じる点もあるそうです。特に、海外の学術誌への投稿にも挑戦すべきだったという思いを抱いています。
最後に桂先生は、本研究科での学びが「人間と環境の相互作用を文理融合的に探究する力」を育み、それが多角的な課題対応力や独創的な発想、実践的な解決力に結びついていると強調されました。その力は、現在の教育現場においても大いに活かされているとのことです。